研究開発

NAGASEの
放線菌利用物質生産技術
〜N-STePP®〜

長瀬産業では、Streptomyces属放線菌を宿主として利用する 物質生産技術の開発とレベルアップに注力しています。

N-STePP®とは

長瀬産業株式会社バイオイノベーションセンター、および、グループ会社のナガセケムテックスでは、従来の 微生物発酵技術をさらに飛躍させる新しい技術として、約10年前からStreptomyces属放線菌を宿主と し た 物 質 生 産 技 術 開 発 に 取 り 組 ん で き ま し た 。 当 社 は 本技術 を N-STePP® (NAGASE’s Streptomyces Technology for Precious Products)と名付け、商標登録しており ます。N-STePP®Streptomyces属放線菌由来の酵素を自在に発現させることが可能であり、既にN-STePP®を用いた酵素製品ならびに酵素生産物を市場に送り出しています。ナガセバイオイノベーションセン ターでは、これまでに培った酵素発現技術および発酵生産技術を次世代の物質生産技術、すなわちバイオ ケミカル生産技術へと応用すべく、 N-STePP®のレベルアップに注力しています。

Streptomyces属放線菌の特徴

Streptomyces属放線菌は細菌に分類される一群ですが、糸状菌(カビ)のような形態をしています (図1)。本放線菌は抗生物質生産菌として著名であり、世界中の製薬企業ならびに研究機関が新規 生理活性物質を求めて研究を続けていることは周知の事実です。結核治療薬のストレプトマイシンは、その 名の通り本放線菌より発見されました。また、北里大学特別栄誉教授・大村智氏が発見し、ノーベル賞受 賞の功績となった寄生虫駆除薬イベルメクチンも、本属細菌が生産する化合物の一つです。現在も Streptomyces属放線菌から次々と新しい化合物が発見されていますが、それは本放線菌が他の微生 物よりも多種多様な物質を合成する能力(遺伝子配列および実生産機能)を保有しているからに他なり ません。

物質生産宿主としてのStreptomyces属放線菌

現在、世界中で物質生産宿主として重宝されてる大腸菌や酵母に比べ、Streptomyces属放線菌は 生理学的・遺伝学的知見がまだまだ少ない、培養に時間がかかる、遺伝子組換え等による宿主改良が難 しい等の短所があり、物質生産宿主として利用している企業は極めて稀です。一方、生産持続期間が長 い(>2か月)、大腸菌や酵母が生産できない物質を容易に生産する等の長所もあります。ナガセバイオ イノベーションセンターでは、上記短所を克服することにより、大腸菌や酵母では生産不可能な物質を大量 に生産できる新たな技術プラットフォームの開発を目標としています。

図1. Streptomyces violaceoruber (電子顕微鏡撮影:山梨大学 山村英樹先生)

ナガセバイオイノベーションセンターでは、独自の発酵生産技術を駆使し、様々な化合物を 効率良く製造するプロセスを開発しています。

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