〇原口:取り組みの概要やきっかけについて教えてもらえますか?
●田原:窒化ホウ素メーカーA社様と分散体の開発を進めています。もともと長瀬産業が潤滑塗料向け原料として、粉体の窒化ホウ素をA社様から購入した事がきっかけでした。
市場動向や用途開発などの視点で調査を進めていく中で、窒化ホウ素は摺動性向上のフィラーとしてだけでなく『放熱フィラー』としても注目され、引き合いが急増している事が判りました。
〇原口:今回どのような課題がありましたか?
●田原:A社様はナノサイズの窒化ホウ素を製品化されていますが、粉体では凝集化や飛散が起こることによりハンドリング性が悪い為、様々な溶剤に分散された状態での顧客ニーズがありました。
A社様としてIPA溶剤の分散体は製品化しておりましたが、他の溶剤を使用するには技術面や設備面での制約があり、新規顧客からの引き合いを断らざるを得ない状況でした。
〇原口:課題をどのように解決されましたか?
●田原:そこで、弊社で数多くの取引実績の中から、要望スペックに適したフィラー分散及び、分散安定化を得意とする分散加工メーカー様候補を選定の上、即座に相談し、試作に取り掛かりました。使用する溶剤はA社様への引き合いが多く、また社内外で調査した結果、今後半導体用途で需要が高まると予想され、その用途における適応性やハンドリング性も良いMEKに決めました。
〇原口:長瀬産業としての今後の取り組みについて教えてください。
●田原: 窒化ホウ素MEK分散体開発に目処がつきましたので、今後は分散体の拡販に注力していきます。前述の通り、窒化ホウ素は放熱フィラーとして注目されており、特に厳密な熱マネジメントが求められるEV(電気自動車)用途でのニーズ拡大が期待されます。また、A社様の様に、機能性フィラーを分散し使い易さを向上させる事でマーケットを拡大し、ビジネスチャンスを創っていくような営業活動をしていきたいです。
〇原口:長瀬産業の強みについて教えてください。
●田原: 高い技術力を有し信頼のおけるパートナー企業と強固なコネクションを持ち、サプライチェーンの川上から川下まで、それぞれの業界に精通した営業担当者がいることです。これにより既存の製品販売だけでなく、自社や協力会社のリソースを活用して新処方・新製品開発に取り組み、潜在的なニーズ発掘をすることができます。